ゆづくしSalon一の坊 くつろぎSalon

「杜の都」の意味を知る 宮城県美術館で「伊達政宗と杜の都・仙台」を見てきた/2023年6月18日まで

6月25日までやっている、米沢市上杉博物館での「上杉景勝と関ヶ原合戦」。

※展示期間は6月25日までですが、前期(姫鶴一文字展示)は5月21日までです

そこからはしごして仙台に移動し、宮城県美術館で「伊達政宗と杜の都・仙台」を見てきたよって話。行った日は5月20日(土)。

米沢から仙台、2200円

展示を見たのは20日(土)なんですが、ちょっと1日戻って19日(金)の話からさせてくださいね。米沢市内のホテルを後にして、19日の朝、上杉神社から出ている高速バスに乗りました。

山交バス(米沢→仙台線)

2200円、交通系ICカードで支払い可、予約不要の高速バスが、米沢駅や上杉神社のバス停から出ています。仙台まで2時間くらいで運んでくれる、便利〜!

10時発、12時着のバスに乗って仙台に移動し、この日はお宿に直行。今回は「ご自愛旅」なので、この日はまるまる湯治に当てました。

ゆづくしSalon一の坊

仙台駅から仙山線で30分くらいの場所にある作並駅。その温泉地にある、ちょっと値の張るホテルです。2年前に初めて宿泊して、とってもお気に入りになった宿でした。

ゆづくしSalon一の坊 くつろぎSalon

ここに帰ってきたかった。

というわけで、恋しい宿に久々に泊まってゆっくり体を休めました。コーヒー飲んで、お風呂入って、ご飯食べて、読書して、お風呂に入って。

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング ドリンクメニュー

「オールインクルーシブ」というスタイルのホテル。滞在中の飲食はすべて宿泊費に含まれており、他の宿だったら「ドリンク代は別途」とかなりそうなものが、なんの気兼ねもなく楽しめちゃう。

とっても楽しみにしてた夕食では緑のラベルのジンでジンソーダ(ライム入り)を作ったけど、美味しかったな。酒の名前も控えていないが……

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング 春巻、カルパッチョ

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング しゃぶしゃぶ

ほんっとに、ここはご飯が美味しくって〜……!近くの席でいかにも「美味しいものを知ってる」って雰囲気のご夫婦が食事してたんだけど、「あんまり期待してなかったけどすごく美味しい」「食事は(近隣の別宿)より良い」「(もちろん向こうが秀でてる部分もあるけど)総合的に判断したらこっちを薦めるよね」とか言ってて、宿泊2回目のわたしは「そうでしょうそうでしょう」という気分になっていた。

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング 仙台牛

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング お寿司

ビュッフェ形式なんですが、コース料理レベルのごはんだと思います。揚げ物とか焼き物とかお寿司とか、その場でお願いして作ってもらうので出来立てを食べられる。先ほどのご夫婦は「気楽なのも良いよね」と話してました。わかる〜

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング 煮付け

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング 鰆、そら豆豆腐、天ぷら

お分かりでしょうか、めっちゃ食べてます。食べてみたいものばっかりで……(そしてお酒も飲んでみたいものばっかりで……)。それでも牛のホロホロシチューはお腹の容量的に食べられなかったんだよね、いつか連泊したら全メニュー制覇したいなって思うんだけど。

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング 牛タン

この牛タンが食べたいがためにこの宿に再訪したまである。

ゆづくしSalon一の坊 さくらダイニング ラズベリーパイ

腹がはち切れんばかりに食べて、飲んで、湯に浸かって。

ゆづくしSalon一の坊 露天への道

浮遊感の中で眠る、ひろびろとした清潔なベッド、清潔で心地よい部屋。

ゆづくしSalon一の坊 ダブルルーム

ゆづくしSalon一の坊 ダブルルーム

この三角クッションがふくらはぎをマッサージするのにとてもちょうど良かった。もたれてテレビを見るのにも良いし……

ゆづくしSalon一の坊 水鏡の庭

朝、昨日あんなに食べて、起きた時も全然お腹は空いてなかったんだけど「朝ごはんいっぱい食べたいから少しでも動いてお腹減らそ!」って朝風呂して(食い意地で二度寝の誘惑を断ち切った)。

ゆづくしSalon一の坊 朝

お風呂の後、朝食前に飲んだコーヒー。くつろぎSalon(ロビー横のカフェ・くつろぎスペース)にあった浅煎りがすごく好きな味だったな。

ゆづくしSalon一の坊 朝食

「お腹すいてない」って思ったのにいざ食べ始めたら3日食べてない人くらい勢いよく食べられちゃう。そういうとにかくご飯の美味しい宿なんです。

朝もビュッフェで、取ってきたのはだし巻き、美味しいお米、芋煮、豆腐、温泉卵、肉じゃが。フレンチトーストとかもあったんだけど、お腹と時間の関係で諦めた。これもまた連泊だったらな〜って感じ。いつか、いつかね。

前回に泊まった時の方がお風呂のことも含めて詳細に書いてるので、よろしければどうぞ。ほんっと〜〜〜〜に仕事が忙しいのを乗り切ったので、ご褒美の1泊でした。そうして朝8時にチェックアウト。

宮城県美術館へ

宿を後にした5月20日(土)、この日は朝イチから昼くらいまでで宮崎県美術館の展示を見て、それから東京に戻る、という旅程。っていうのも帰りは昼行の高速バスを使いたかったんです(だって東京まで4300円なんだもん!!!!)。そう考えると9:30の開館ピッタリくらいに入っておきたい、でもそうなると宿が出してくれるシャトルバスを使うとちょっと遅い……

って旅程をこねくり回してる中で、作並温泉を8:25に出て9:15くらいに厚生病院(美術館まで徒歩15分くらい)に着く路線バスがあることを発見しました。シンデレラフィット!

ほんというとチェックアウトギリギリの時間まで宿でのんびりもしてみたかったんですが、それはまたの機会にということで。また来るための口実にしておきます。

宮城県美術館

バスが少し遅れて予定より5分ほど到着が遅れましたが、無事に宮城県美術館に到着しました。

第40回全国都市緑化仙台フェア開催記念 伊達政宗と杜の都・仙台-仙台市博物館の名品-

宮城県美術館 伊達政宗と杜の都・仙台

宮城県美術館は仙台市内にある美術館。一方で「仙台市博物館」という博物館もあるんですが、現在こちらは改修のための休館中。今回は仙台市博物館の所蔵品を中心とした展示が、宮城県美術館で開催されています。

伊達政宗と仙台

この直前に見た米沢市上杉博物館の展示で、上杉景勝の所領の変遷を勉強しました。元々は越後だったけど、米沢・会津エリアに領地替えとなり、関ヶ原のあとは領地が減らされて米沢のみになった。

その米沢・会津エリアは、元々伊達家の領地。伊達家の拠点は米沢→岩出山(大崎市)→青葉山(仙台)といった形で変遷していきます。……といった、領地が変わっていく流れを「伊達側の視点」から再確認できたのが面白かったです。

他にも伊達政宗の肖像画が出ているんですが、これは両目が開いた状態で描かれてるんですよね。というのも政宗自身が「絵に描くことがあれば両目をきちんと描け」と言っていたためで、そのため肖像画の多くは両目の開いた状態なんだそう。一方で、米沢で展示されていた政宗肖像画は(眼帯とかはつけてないけど)右目が細められた状態で描かれていました。「あ、あれってレアな政宗肖像だったんだ」って知ることができた。

米沢と仙台、2つの展示をはしごするとすっごく面白いと思います!

「杜の都」の意味を知る

宮城県美術館 伊達政宗と杜の都・仙台

伊達政宗は関ヶ原の戦いの後に青葉山(仙台)に城を築きます。ここから仙台の街の基礎ができるわけですが、そのまちづくりの中で「植樹」が推奨されているんです。

仙台城の裏山は伐採が禁じられ、家臣たちの住む武家屋敷にも杉や檜、柿や梅といった、建材になるものや実が採れる木を植えることが推奨されます。これは伊達政宗が建築資材や薪が将来的に不足することを懸念したため。さらに仙台藩士の多くは「在郷屋敷」と呼ばれる屋敷を村に持っており、家族や家来の多くはそこに住んだため、家屋にそれほど敷地を割く必要がなかった、という事情もありました。

武家屋敷の空いたスペースに林や畑を作り、城の裏も木が豊か。その様子は江戸時代の絵図にも残っており、緑の多い城下町だったことが見て取れます。

明治から戦後、現代

明治になって時代が大きく変わりました。藩が県になって、武家屋敷の住人が旧藩士以外になることは多かったようですが、屋敷や林自体は残っているケースが多かったとのこと。この頃作られるようになった旅行ガイドブック的な書籍で「森の都」の表現が見られるようになり、以降「杜の都」は仙台の代名詞となっていきます。

しかし第二次世界大戦時、仙台も空襲の被害を受けます。

たくさんのもの……例えば伊達政宗の墓所である瑞鳳殿など、さまざまなものが被害を受け、もちろん街の木もたくさん燃えました。でもそんな中で、当時の市長は「昔のもりの都以上にしたい」と発言しています。「杜の都」であることが気概、だったりしたのかな。戦後復興の中で市街地の主な道路には街路樹が植えられて、そうして今でも、「杜の都」という代名詞は生きています。現代も杜の都の維持・育成が続けられています。

仙台城 伊達政宗

前に仙台に来た時「仙台の街の歴史を知りたい」と思ってたんですよね。来てみて、巡ってみて、初めて「ここって空襲の被害を受けてたんだ」って知ったから。それにフィットするような展示だったのでとても興味深く勉強させてもらった。「杜の都」という言葉自体は見たことがあったけど、その意味は知らなかった。

確かに政宗公の作った街が、一度焼けたとしても、まだ続いているんだな。

鎺国行、出てます

今回の展示は「伊達政宗」「杜の都・仙台、宮城」の2つのテーマなので、伊達政宗の生涯を紹介するような展示も出ています。その中で1振りだけ刀剣展示があり、それが鎺(はばき)国行。

今回は刀身だけの状態で展示されていました。「はばき国行」の名前の由来を知らなかったんですけど、はばき(鍔のところにつける金具)に「国行」と彫られていることから。刀身自体には銘はなく、無銘として登録されています。

「国行と彫ってあるったって、ちょっと探すの大変な感じだろうな」と思ったら、めっちゃ堂々と彫ってある。表に「国」、裏に「行」(逆かもしれない)で、小学生だってわかるわレベルで堂々と彫ってある。ちょっと予想外でびっくりした。

これは磨上げで銘がなくなってるのかな(姿からはあんまりそういう印象を抱かないんだけど)?だとしたらはばきを作った/作ることを命じた人は、絶対に国行であることを風化させたくなかったんだろうな。慶長17年に秀吉から貰ったものなので、小田原遅参(慶長18年)の1年くらい前のことのようです。

そのほか「筆まめな政宗」「慶長遣欧使節」などの解説も出ており、「これ伊達双騎(ミュージカル刀剣乱舞)で見たやつ!」と思ったりしました。

展示公式ページ
出品目録(PDF)

山脇百合子の原画

宮城県美術館 山脇百合子 そらいろのたね

同じチケットで1階の常設展(所蔵品展)エリアも見ることができるんですが、現在は山脇百合子の絵が展示されていました。絵本「ぐりとぐら」などで知られる方です。

宮城県美術館 山脇百合子

2022年に亡くなられたんですが、この宮城県美術館がご本人より原画の寄贈を受けており、134点を収蔵しているとのこと。今回は「ありがとう山脇百合子さん」としてコーナーを作り、作品を展示しています。

宮城県美術館 山脇百合子 ほしがほしいとほえるいぬ

「ぐりとぐらかるた」の「ほ」、「ほしがほしいとほえるいぬ」。これだけ妙に覚えていて、つい最近もふと思い出して検索したりしたんですよね。こんなところでその原画に会えるとは、思わなかった。

特別展に1時間、常設展に30分くらいかけて見て、11:15ごろに美術館を後にしました。

まつりの町を抜け

美術館は仙台市内をめぐる観光バス「るーぷる仙台」の停留所もあるので、仙台観光として過ごすならるーぷる仙台で瑞鳳殿や青葉城なども合わせて巡っても良いと思います。でも今回は帰りのバス(だって4300円で東京まで帰れるので!!!)を優先して、地下鉄で仙台駅に戻ります。地下鉄で3駅で仙台……ですが、ちょっと余裕のある時間で終われたので、1駅前で降りてみる。

仙台青葉まつり

仙台青葉まつり

この日は仙台・青葉まつり。新型コロナの関係もあり、実に4年ぶりの通常開催だそうです。別にこれに合わせて来たわけでもなかったんだけど、せっかくだから雰囲気だけ味見させてもらう。

仙台青葉まつり

仙台青葉まつり

おどりの人たちがアーケード街を次々と練り歩いていく。初めて聞く祭囃子だけど、やっぱいいねって思っちゃう。

仙台青葉まつり

仙台青葉まつり

ちょうど駅までの道の途中におすすめされてたカフェがあったので、ちょっと水分補給に立ち寄ってみる。

cafe青山文庫

ビルの5階にあるcafe青山文庫。本とコーヒーと世界観が売りのお店です。

cafe青山文庫

cafe青山文庫

cafe青山文庫

とはいえ食事をするにはちょっと心許ない残り時間だったので、サクッとカロリー摂れそうなやつを注文した。

cafe青山文庫

山盛りクリームのホットココア。ちなみにクリームの量が容赦ないのでぐずぐずせずにクリーム食べちゃわないとみるみる溢れます。

旅はヒーリング

というわけで、米沢〜仙台の旅行ご自愛エディションでした。「体を休めたいんなら家でぐっすり寝て近場のマッサージでも行けば良くない?」って思われそうだけど、でも違うんだなあ、自分とまったく関係のない、わたしの生活と完全に切り離された場所で呼吸をしなくちゃ、治らない故障があるんだよ。

歩いて、食べて、温めて、眠って。
識って、考えて、書いて。

そういうことがわたしの旅、わたしに適切なヒーリングです。そんな3日間の旅でした。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!

仙台駅で買ったもの

これは仙台駅で買って宿で食べたおやつ。