篠山神社

久留米の有馬記念館で「大名有馬家と久留米城下町」を見てきた/前期・2024年9月30日まで

仕事で福岡県・久留米に来ています!

久留米駅

ゴールデンウィーク中はのぞみが全席指定なの忘れてて詰んだかと思ったけど、のんびり駅弁でも買おうと思って1時間早く家を出てたからひかりに乗ってことなきを得たよね。

久留米駅はJRと西鉄の2つ。ですがこの2つは結構距離が離れていて、歩くと30分くらいかかります。

久留米絣

町のあちこちに久留米絣の意匠があるよ。

久留米絣

久留米絣

久留米はブリヂストンが幅を利かせている町でもあります。でっけえ工場があり、ブリヂストン通りなんて名前の通りがあったりする。

ブリヂストン通り

久留米駅 青木繁

JR久留米駅の駅前には青木繁の「海の幸」のレプリカがあります。「これ、所蔵がアーティゾン美術館(東京駅近くにある石橋財団(ブリヂストン系)の美術館)所蔵だからかな……」と思ったんですが、

青木繁旧居

JR〜西鉄までの道すがらで青木繁のおうちの看板を見つけたので、この辺りが出身だったんですね。ていうかアーティゾンで所蔵してるのも久留米ゆかりってところからだったのかも……

お仕事あるけど意地でも観光したい委員会

篠山神社

はい、そんな久留米なんですが、お仕事でやって来ています。でも仕事は午後からですので少し観光をしました、という日記です。お仕事あるけど意地でも観光したい委員会。

向かったのはJR久留米駅から徒歩15分ほどの場所にある有馬城跡一帯。現在は篠山神社という神社が鎮座しております。

篠山神社

その、すぐ横にあるのが有馬記念館です。

久留米の有馬氏

篠山神社

九州で有馬氏……というとキリシタン大名として有名な有馬晴信あたりがまず思い浮かぶところ。しかしこちらの有馬氏は別の有馬さんちで、先祖は播磨守護職赤松則祐の子・義祐。この義祐さんが現在の兵庫県三田市のあたりの「有馬郡」を拝領したことが「有馬」という名字のきっかけです。

有馬家の歴史 | 有馬記念館

余談ですが、ここで出てきた赤松氏は獅子王を受け継いだ家としても知られます。

「獅子王は平安時代、源頼政が天皇から賜ったとされ、広秀まで赤松氏が代々所蔵していた刀」
参考:「獅子王」の写し刀 半年ぶり公開へ 朝来で28日 | 神戸新聞 / 赤松氏系譜 | wikipedia

というわけでキリシタン大名の有馬氏とは全然別の系譜の有馬さん。久留米の地で250年の長い治世を敷き、21万石とそこそこ大きな大名でもありました。また明治維新後のご当主様は競馬の「有馬記念」の由来の人だったりします。

篠山神社

篠山神社に隣接する有馬記念館では、この有馬氏を紹介する展示を行っています。

令和6年度平常展「大名有馬家と久留米城下町」前期

有馬記念館

1室のみの小さな記念館です。現在行われているのは令和6年度平常展「大名有馬家と久留米城下町」前期というタイトルの展示。2024年9月30日までは展示替えがないようです。ちなみにこの記念館もブリヂストンの寄贈によってできたものらしい。

有馬の大名たちを紹介する内容となっているんですが、その中で刀剣類の展示も行われています。

鑓 国吉

小ぶりな十文字槍。銘は「藤原國吉作」とありますが、粟田口の国吉ではなく、筑後の鬼塚吉国系の刀工に「藤原吉国」「柳川住国吉」といった名前の者がいるため、この系統の刀工による作ではないか、としています。

鑓 吉国

こちらも小ぶりな槍で、銘は「筑後久留米住鬼塚吉國」。鬼塚派は近世の筑後を代表する刀工で、3代目までは「吉国」を名乗ります。本作は「久留米住」とあるので、久留米で活動していた2代目の鬼塚吉国ではないかと考えられています。

全然知らない名前が出てきておもしれ〜!!!これだから地方の刀剣展示って好き!

太刀 信房
刀 祐定

この辺りは備前(岡山)の刀工ですね。九州からすれば地域的にもまあまあ近いし、名高い刀工ですし、まあ偉い人が持っていて全然不思議ではないブランドかなという感じです。信房は良い反りっぷりでした。

小刀 避雷劔

そしてとびきり珍しいのがこちら。「小刀」とあるようにめっちゃ小さい刀で、刀身となかご(持ち手の部分)を合わせても10cmくらい?って感じです。そして形状も珍しくて、なんか微妙にくねっとしてるんですよね。「避雷劔(ひらいけん)」といかにも物語がありそうな名前ですが、特にその辺りについては解説がありませんでした。

面白いのが裏面。これは展示の都合上写真による紹介でしたが、なんか彫ってあるんですけど全然わかんないの!キャプションによれば梵字(軍荼利明王か?)(ここで「か?」となってるんだから専門家が見ても微妙なんだろうな)と「水」が彫られているそうです。写真じゃなくて実物でも見てみたい。なんで「避雷」の銘で彫られてるのが「水」なのかな……

「避雷劔」は銘として彫られています。製作者は判然としませんが、白鞘に墨書きで「清修」とあるので、久留米で活動した青木清修によるものかと推測されるそう。これもまた知らない名前です。面白いね。

避雷劔は展示のメインビジュアルにも載っています。▶︎展示概要ページ

有馬記念館

展示の所要時間は30分以上1時間未満、という感じでした。意外に刀のウェイトが高くて楽しかったです!

こういった展示施設は刀の展示がそれなり……だったりするんですが、しっかりしゃがむと結構ちゃんと刃文が見えました(槍系はどうしても難易度高いけど)。そういった意味でもちゃんと楽しいと思うよ。

駅から徒歩15分、コンパクトな展示でねじ込みやすいのでお仕事あるけど意地でも観光したい方はぜひ行ってみてください(お前以外にいるの?)。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!

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