2023年あけましておめでとうございます。昨年は旅費に約70万円使ったいざなみです。ばかなの?
ばかなので1月4日から京都にいます。現在京都国立博物館で、笹貫が展示中です!
京都国立博物館 名品ギャラリー「刀を飾るⅡ」
もともと拵だけ展示の予定だったらしいけど、トラりんのツイッターのなんやかんやがあって無事展示されました。
京都国立博物館は京都・東山にある博物館。元を辿ると方広寺の敷地内だった場所で、近隣には方広寺(大坂の陣のきっかけになった、方広寺鐘銘事件のやつね)やそれに隣接する豊国神社、豊臣秀吉のお墓のある豊国廟などなど、豊臣ゆかりの寺社が多くあります。交通アクセス的にもさほど不便ではない場所。
「最後に来たの、いつだっけ……?」と思い返してみると、2018年秋の京のかたな展以来でした。懐かしい……ちなみにこの建物はドラマ「花より男子」で花沢類の家として使われたらしいです。
しつこいぞ、十字紋
お目当ての「刀を飾る」は1階での展示でした。刀身のみでは身につけることも使うこともできない「刀」という武具。刀とともに歩んできた刀装具の美を特集する展示です。
笹貫の拵である「黒漆太刀拵」は独立ケースで展示。島津の「丸に十字」の紋が随所に入れられてるんですが……「割としつこいな」って思った。
目貫(刀を固定するための釘を隠すための飾り)に入ってるのはまあわかる。でも吊り下げるための金具とか、先端の方の補強するための金具とかにも入ってるのは、なんつーかしつこい。それもひとつポンと紋が入ってるなら別に構わないのに、ヴィトンのモノグラムですかってくらい散りばめてしまってるから、もうなんつーかしつこい。
と、しつこいしつこい言ってしまってる島津十字紋ですが、これは島津家家紋の最古例として貴重なものなんだそうです。それから同じく獅子王なんかも「黒漆太刀拵」があるのでそれとつい比べちゃうんですが、見比べてみると笹貫の「黒漆太刀拵」はそんなに平べったくない。獅子王のはだいぶ平べったいです。笹貫のやつの方がちょっと時代が新しいんだね。
(東京国立博物館で撮影した、獅子王の拵)
獅子王の拵はパキッとひとつ紋を入れてるだけでくどくなくていいんだよなあ。しつこいぞ、笹貫。
なんて一途なの、笹貫
拵というものは元来「残らない」ものです。そもそも摩耗し、保存がききにくい素材ですし、持ち主が変わるごとに「新しいのつーくろっ!」って新しいのを作って古いのを捨てちゃったりする。スマホカバーくらいの感覚なんじゃないかと思います。
だけどなまじ古い時代の拵が残ってるせいでしょうか、笹貫って、目釘穴が一つしかないのです。
拵が変われば釘の位置も変わるから、それに合わせて刀身の方にも穴を開けなきゃいけないわけで。でも笹貫は穴が一つしかない。新しい拵えが作られることがなかった、あるいは抜き身とか白鞘とかで保管されてる時期が長かった……その辺はどうなのか知りませんけど。
これは審神者の悪い癖なんですけど、刀に人格を見ながら鑑賞しちゃうので、なんかもうこんな古い刀なのに目釘穴一個しかないの、一途じゃん……って思っちゃった。
刀身の方はびっくりするほど綺麗です。柾目(ストライプみたいな肌模様)だったり直刃の刃文だったりと、大和伝的な特徴があるとキャプションには書かれています。確かにそれはあるんですが、だからと言って「めっちゃ大和だな〜」ってなるほどに大和っぽくはないというか。言われてみりゃあ柾目だけど、でもそんなはっきり肌が見えない、めちゃめちゃ詰んでる。古い刀って感じがしない。
綺麗すぎるから近代のやつじゃない?って思っちゃうけど、なかご(持ち手の部分)を見ると確かにジジイだなって思います。なかごの下の方、ちょっと形が歪になってるから、つけっぱなしで腐食したのを剥がしたこととかがあるんじゃないかなあとか思うんだけど、どうなんだろう。そして棟に傷もあるので、実戦経験があるらしいんです。一見「新しい刀」っぽいけど、細々したとこを見ると時代物っていうか、ジジイっぽさを感じる(刀剣男士の笹貫の方も、実年齢ジジイの割に若作りだもんな〜って思った)。
でも「古い刀って感じがしない」のは単に見えてないだけって可能性もあるので、笹貫に関しては単眼鏡アリの方がいいかもしれんなあって思った。また次の機会があれば、単眼鏡します。
笹ファミリー、黒漆ファミリー
展示室で他に気になったのは、「革包太刀拵(名物 笹丸)」。中身の刀は「名物 二ツ銘則宗」。拵えに号がついてるんです。これって刀かけもセットなのかな、笹柄のすごく良い刀かけで出てたんだけど……って部分が気になっちゃった。
それからもうひとつ、「黒漆塗鞘太刀拵」っていう微妙に名前の違う黒漆太刀拵が出ていました。これは室町時代・15世紀のものなんだけど、突兵拵っぽい作りのやつでちょっとびっくりした。
こういう、先が丸まってるような拵で、幕末に流行ったものです。15世紀なのに〜!おもしろい。
あとあと、同じく1階の別の部屋にて展示されていた「白光神立像」がとてもよかったです。湛慶作、高山寺蔵。蓮台まで白一色なんですが、これはヒマラヤの雪を象徴してるんだって。仏像を順番に見ていてここに目をやった時「えっ?」ってよくわからない驚きをしてしまった。ふしぎ、ふしぎだった……
2023年、刀はじめは笹貫から
そんな感じの、久々の京都国立博物館でした!トーハクの年パスがギリギリ期限残ってたので有効活用してしまった(トーハクの年パスで、国立博物館4館にも年パスできます)。
久々にキョーハクまでの道を歩きながらすごくワクワクしてて、「わたしってまだこんなにワクワクできるんだ!」ってことに感動して嬉しかった。そんな2023年の刀はじめでした。今年もよろしくお願いします!