三連休いかがお過ごしでしょうか。台風一過で暑いです。いざなみです。
さて三連休の半分を使って、西日本遠征してきました!
結果は勝利Bです!!しょっぱい!!
勝利Bという時点でオチが透けて見えてる感じがあるのですが
嵐を呼ぶ9月の西日本遠征についてレポします~
2017年9月16日からの三連休は
・大阪・石切劔箭神社での宝物館特別公開(石切丸、小狐丸、小烏丸写し)
・香川・丸亀市立資料館にてニッカリ青江展示
・広島・ふくやま美術館にて江雪左文字展示
が重なっておりました。
せっかくの三連休だし、東京脱出しちゃうよね!!ってわけで予定ねりました
事前に組んでいた予定はこんなかんじ
9/16(土)
始発の新幹線で大阪
→石切劔箭神社にて音声ガイドと石切丸、小狐丸、小烏丸写し
→大阪城(刀剣展示もちょっとある)
→鈍行で広島へ移動
→福山で宿泊
9/17(日)
ふくやま美術館で江雪左文字
→鈍行で丸亀へ移動
→丸亀城でニッカリ青江
→金毘羅さんへお参り
→丸亀20時発の夜行バスで東京へ帰還
勇んで予定を組んだときには全然予測していなかったんです、
台風18号が直撃するなんて…
という訳で波瀾の遠征の幕開けです。
早朝、石切劔箭神社
石切劔箭神社(石切神社)(@ishikirishrine)さん | Twitter
さて、9/16(土)早朝4時、予定通りに起床して始発の新幹線。
9時すぎくらいには石切さんに到着できました。
森ノ宮から新石切って地下鉄で7駅。
大阪城が燃えたとき、石切神社から見えたんだろうなあとかそんなこと思いました。(わたしは鯰尾推し)
本殿でお参りをしてから音声ガイドを借りてきました!
境内のそこここで石切丸さんに案内してもらえます。
加持祈祷がそんなに手間のかかるものだって知らなかったな!
あと絵馬殿の存在を今回初めて知りました。
境内に緑が多いから、ここから見るとすごくきれいな画だった。雨がおっくうであんまりしっかり撮ってないですが
よくある仁王様とかとは違う雰囲気のお像でした。
石切さんには今まですでに2回行ってるのにね!知らなかったし知れてよかったです
以前の▼
音声ガイドを借りるのは待ちもゼロでスムーズだったんですが、
宝物殿拝観はちょっと並びました。
ちゃんと時間計ってないけど、人気のご飯やさんに並ぶくらいの列だったと思います。
列整理の方が「外で並んでる方が雨に濡れないようになるべく詰めて」と配慮してくださってました。
これも今回初めて知ったんですが、石切さんはもともと穂積という名のお寺さんがあった場所であったり、祭祀のお名前が穂積という姓に連なるものであるとか(うろ覚え)なんだそうです。
上の写真に写ってる擬宝珠もそうなんですが、ちょいちょいいろんなところで稲の装飾がしてあって、
穂積という名前とあわせてなるほどなー!と思ったりしました。
さて、宝物館での展示品で気になったやつピックアップです!
●脇差 康光
肌がてらてらしているのはおそらくお手入れの癖でしょうか。
この康光は肌が立っていて、まるく円を描くような肌目の部分がありました。
いま軽くググってみたところ、康光は備前長船派のようです。同名さんでなければ。
●脇差 忠國
これは刃文ががっつり丁子で、ここに展示されてた中では一番華やかなものでした。
ググってみたけど、信濃大掾藤原忠國であってるのかな?だとしたら江戸時代の新刀のようです。
系統としては堀川派の流れを汲んでるみたい。
●短刀 来国俊
刃がとても細くて、だいたい直刃。
だけどきっさきだけ小さく火が立ってるみたいになっていてそれがすてきでした!
ちょうど最近「逆足」とならんで「京足」という言葉をツイッターで見かけたばっかりだったので、
これはきっさきなのでたぶんそれとは言えませんけど、でもそれを連想してちょっと嬉しかったです。
●小烏丸写し
月山貞勝氏が昭和期に打ったもので、音声ガイドによると
・月山氏が一時期石切神社境内で軍刀を作刀していた
・そのつながりで奉納刀を打つことにしたのではないか
・月山といえば綾杉肌だが、奉納刀の場合は綾杉肌にせず、刃文も直刃にする
とのお話が聞けました。(メモ取ってたわけじゃないんでまちがってたらごめんね!!!!)
ほかのとこでも小烏丸づくりの刀は見たことあるんですけど、
きっさき両刃造りって、どうしてかそんなに鋭さとかヒヤっとする感じがしないで、まろやかな感じを受けます。
鋭いというよりやわらかい。刃が二つだからこっちのほうが殺傷能力はありそうなんだけど。不思議。
じいっと見てみると、刃文のふちのつぶつぶがきれいでした。
参考にどうぞ▼
●小狐丸
小狐丸と石切丸は一回だけ見ています。
小狐丸は折り返し銘。53.8cmなのでサイズとしては脇差。
小さいけれどーーー!!!です。
最近トーハクで三日月参りをしてるのでそれと比較してしまいますが、あのへんほどの反りはないように思いました。
かがむと肌が見えて、それは三日月とも似てる肌だ、と思います。
三日月参り▼
つやつやして粗のないきれいな肌、というよりはちょっとざらついてる部分があるのですよね。
古い和紙みたいな。荒いというわけではなく、おだやかだけどしっかりとある肌触りというか。よく着込んでやわらかくなった麻の服みたいな。
やっぱ見方がわかってきて、比較できる対象やパターンが増えると得るものが違うなー!たのしい!
●石切丸
音声ガイドで小烏丸と小狐丸の紹介のあとに石切丸の段になるのですが、
「太刀、石切丸」ってナレーションするときの声色が「太刀、石切丸(*`・ω・)ゞ」って感じで他と比べて若干るんるんしててあるじもつられてるんるんしました。
いろはに刀剣のときはテント内でライトが見づらかったのもちょっとあるとは思うんですが、
今回すごく「肌もっと見てたい…!!!!」ってなりました。
同じ三条派でも結構肌の雰囲気違いますね!
ちりめんみたいにつぶつぶして細かい肌ですが、でも新刀のつるんと詰んでる感じとは違って、
つるんとしてるわけではないけどちりめんみたいな…?
刀でちりめんって言っちゃうと肌目が分からないくらい詰んでるってことを指すんですがそういう訳でなくてそれなりに肌目わかるくらいあるんだけどでもガチのちりめんっぽい感じ、
…ちょっとあれですね語彙力の限界。
姿もいいなあと思いました。
なかごが長いように感じました。その長さが無理に大きくした感じを弱めてくれて、なだらかで無理のない姿。
反りが腰でぐっと反ってるかんじではなく、丸く反ってるように感じました。なだらか。
全体的に漂うなだらかさ。やさしい。
石切丸に入っている銘は「有成」。有成の在銘の作はこれ一振りのみだそうです。
有成は宗近の子という説と、宗近が宗近を名乗る前の名前、という説の2パターンをわたしは聞いたことあります。
(個人的には以前の名前説がなんとなくロマンチックで好きです)
小ネタですが、刀ミュの石切丸のキャラクター紹介では「三条宗近の作」と書かれていたので、
刀ミュでは宗近を名乗る前の名前説を取ってることになりそうです。つまりは三条の長男。ひゅう。
もういっぺんちゃんと見たいなあと思ってたのでまた見れてよかったです!
また来年再来年とかに見ると違って見えるのかな、楽しみ。
雨の中でしたがお百度参りをして、最後に御朱印をいただいて、境内の正面のお店でお昼ご飯。
すずやさんが混んでたので右側のお店でおでんと親子丼食べました。
このぐずぐずになるまで煮たおうちのおでん感おいしい。
新石切までの参道にあるカフェもツイッターで見かけて気になってたので、食後のお茶に入ってみました。
アーリーズカフェ (Early’s cafe) – 新石切/カフェ [食べログ]
席は多くないんですがお店は広々としていて、店内の空間の使い方が素敵でした。
スコーンがおいしかった!紅茶とスコーンで600円。
サンドイッチ系も充実してたのでお昼ここで全部済ませてもよかったかも。
この時点で13時くらい。
お百度を踏んでくたびれたのと、これからまた雨がひどくなりそうだしなあということで
この後大阪城に行くのはなしにして、そのまま広島へ鈍行で移動しました。
のんびり4時間の旅。
台風の様子を気にしながら、持ってきていた本を一冊読み終えました。
あとがきにもある通り、丸亀をモチーフにしたお話。
物語のラストと今の季節と天気がすごくかみ合っていて、ちょうどこのとき読み終えてよかったなあと思ったりしました。
夕方に福山に到着。
人魚の街のようでした、ふくやま
福山はばらの町として身を立てているので、この時期は秋のばらが咲き始めていました。
繁華街がちゃんと栄えているのですが、地面が濡れて光が反射していてとてもきれいでした。
あとカープの赤い服の人たちがちらほらいたよ。
外で夕ご飯を済ませて、お宿でおやつ食べたりゴキブリと戦ったり活撃見たりしてその日は眠りました。
福山の駅の中で売ってたフルーツ大福。
ピオーネはちょっと皮が硬かったけど桃太郎とシャインマスカットは美味しかった。
cocシナリオのガシャン!を連想した感じの古いビジネスホテル。
ゴキブリと戦いました。立地と値段はいいんだけどね…
福山市 福山バラ公園 ビジネスホテル 福山パークホテル – iタウンページ
戦いの夜が明けて
翌朝、9/17(日)!
まさかのチェックアウト20分前の時間に起きてしまってすたこらさっさと宿を出ました。
駅のパン屋さんで朝ごはんを食べて、11時ごろからふくやま美術館へ!
駅のすぐ裏だよ!
今回は常設展の展示品のうちで、3振りだけ刀剣が展示されていて、その内一振りが江雪左文字です。
以前は明石国行と一緒にパネル展示のあった時に来ました。
さて、鑑賞開始!常設展なので入場料が300円です。ひょええ。
今回入場時に申し出をすると写真撮影可となりますが、SNS等へのアップロードは禁止となっていました。
だんだん撮影可の展示が多くなってるような肌感覚がありますね!
●脇差 朱銘貞宗/本阿(花押)(名物朱判貞宗)
銘に赤が入れてあるので朱銘ですね。
いちばん綺麗に描けたのはこれだなあ…
キャプションでは
「沸がよくついて地景が現れた地鉄」
「金筋や砂流しを交えたのたれ刃」
「身幅が広く浅く反りが付いた姿は南北朝時代の典型」
などの説明がありました。
わたしは金筋や砂流しを人に説明できるほど理解できてないんですが、でもものうちのあたりのやつ!
あれがすごいね、あれのことなんでしょ!!ってのはわかりました。めっちゃ目が行っちゃう。
参考▼
金筋(きんすじ)と砂流し(すながし) ( 歴史 ) – 悠樂菴倶楽部「日本刀の世界」
筋が3本くらい見えていたので、すだれ刃みたいだなとも思いました。
すだれ刃は新刀の時代の美術的要素の強い刀の刃文として生まれたものなので、時代は全然ちがうんですけど。
参考▼
日本刀・丹波守吉道(大阪丹波の二代目) |日本刀・刀剣販売の十拳
●国宝 太刀 筑州住左(江雪左文字)
江雪さんを初めて見たとき、「国宝納得だわ…」って思ったんですよね。
一番最初に見たときは広島県立美術館でした。これで三回目になる。
初見▼
今回がこれまでで一番すいていてじっくり見れたので、思う存分見ることができました。
初めて見たとき、この刃文を山の向こうから日が昇る時の、光る山の稜線みたいだなって思ったんですけど、
今回は太陽を隠してる雲の端が、明るく光っているみたいだなって思いました。
つまりあのときわたしはまだ、化粧研ぎの線しか見えてなかったってことなんですねえ!!(自虐)
肌がすごく詰んでてきれいで、でも一か所丸く肌が立ってるとこがあるのとかも今回初めて気づきました。
刃文の線の乱れがよくわかりました。
改めてよく見えたうえで、明るい刀だなあと思いました。
だってどっちにしろ太陽の光を隠して、その光で照らされた輪郭を連想するんだものねえ。
そしてやっぱりとどのつまり「国宝納得だわ」となる刀でした。
●刀 無銘 伝 長義
貞宗:キレイ系
江雪:キレイ系
長義:オラオラ系
というわけで長義が目に入ったところで「ひゅーーーかっこいーーーー!!!」とテンション上がりました。かっこいいよ!!
地鉄もおもいっきりうねってるし刃文も思いっきり強いし姿も強い、もう強いかっこいい。
そうだね長義!おまえはそういうやつだね!っていうかっこよさ。裏切らない。
個性が強いんですよね、人間が美人って思う人の顔って粗がない→一番平均に近い顔っていう部分があるそうなんですけど、
キレイ系はキレイだけど美人なんできれいだなーってことは覚えててもすぐ忘れちゃったりすると思うんです、
新刀なんかだときれいで粗やムラがないからいまいちピンとこない、って人聞いたことありますし。
その点長義はすごい!個性めっちゃ強い!忘れないインパクト!
っていうわたしの個人的テンションは置いといて、刀見始めた人に長船の派手系なやつ見せてあげると分かりやすいだろうなーとか思うんですよね。
そんなことを思う長義でした。
一応の補足ですが、山姥切国広の本科は長義です。これの兄弟刀ということですね。
名古屋の徳川美術館所蔵です。脳筋を感じる長義です。
そのほかの所蔵品の絵画では、岸田劉生の「麗子 十六歳之像」とか
ジョヴァンニ・セガンティーニの「婦人像」がいいなと思いました。
両方ポストカードがあったので買っちゃった。
岸田劉生の麗子像はおかっぱの女の子の絵で、日本史の教科書にも載ってたりしてますが
ちょうど今トーハクで麗子像が展示されているんですよね。この間初めて見たところだったんです。
これはその麗子が十六歳になって、初めて日本髪を結って晴れ着を着た姿で父・岸田劉生に描かれたもの。
岸田劉生はこの絵を描き終えた年の12月に亡くなっています。
…っていう物語と、わたしが最近初めておかっぱの麗子を見たこととが重なって、放っておけない感じで気になったのでした。
婦人像は光が吸い込まれるような黒が良いなと思いました。
福山のお土産に! FUKUYAMA~Eau de Parfum~ 福山オードパルファム | 福山観光コンベンション協会
ミュージアムショップでは福山のばらをテーマに資生堂と共同開発したグッズなんかも売ってました。
リップクリームとか石鹸とか!女子向けのお土産にちょうどいいです。
vs台風のチキンレース
さて、この時点で12時すぎくらい。展示の品目数の割には時間掛りましたね!じっくり見れてよかった!
もともとの予定だと、この後午後から丸亀に行く予定。
しかし昨日の時点で17日(日)は青江に会えないことが確定してました。
でもこの時点で丸亀ゆきの道はまだ止められていないし、帰りの丸亀発のバスも12時更新の情報では運行予定と出ているし、バス代払い込み済みだし(←これが一番重要だった)
「どっちにしろ鈍行で岡山まで移動するしな~そうだ岡山で刀見れるじゃん?」
と思って白羽の矢を立てたのはココ
「うんうん、どうせ気になってたし、早めに丸亀に入れても行くとこないしね!金毘羅さんも無謀だし!日中は岡山県立博で刀を見て、夕方また判断しよう!」
てなわけで、夕方5時くらいまでに丸亀に移動できてかつバスも動くのなら夕方に香川入り、
夕方まで様子を見て香川入りが無理そうなら支払い済みの一万円は捨てて新幹線で岡山から帰宅。
…って考えていたのですが、いざ福山で駅構内に入ってみると、まだ電車は動いているものの14時台で最終としてあとは運転見合わせ、
不安に駆られながら山陽新幹線の運行状況を見ると「今後の天気によっては運休の可能性もアリ」との表示で
「…やっぱ無理くない?」
となって岡山県立博物館も諦めました。ゴーバックトゥートーキョー!!!
旅程を切り上げて帰ることにするのは今回が初めてでした。13時ごろの新幹線に乗って東京へ帰宅。
でも14時すぎにバスの運休が決まったとのメールが届いたので(そして全額返金だったので)早めの判断をしてよかったです。
というわけで健全に19時ごろには自宅についてました!これにて旅の記録終わり!
天災に旅程を左右されることってそうそうないとは思うんですけど、いい経験になりました。
こういうこともあるんだなって思っていただければ。
とにかく言いたいことは、
青江に会えなかった!会いたい!また行く!絶対行く!!
です!!
何かの足しになっていたら幸いです!
ながながとここまで読んでいただいてありがとうございました!