徳川美術館 雛飾り

9回目の春もここで 徳川美術館の雛まつり 2023年4月2日まで/愛知・名古屋

わたしが初めて刀を見たのは2015年の3月。刀剣乱舞リリース直後の反響を受け、徳川美術館にて鯰尾藤四郎が急遽特別展示されました。それを見に行った2015年3月22日が、わたしの刀のいちばん最初。

徳川美術館

徳川美術館では毎年この季節に雛人形の展示を行っていて、2015年の春も、鯰尾藤四郎とともにお雛様を見たのでした。

そんな思い入れもあり、「とくびのお雛様見なくちゃ春が始まんない」みたいな気持ちがちょっとあるのです。2023年に至るまでほぼ毎年、この展示は見にきています。

徳川美術館 尾張徳川家の雛祭り

というわけで、今年もきたよ!尾張徳川家の雛まつりです。

第一展示室はプチにゃんコレ状態

通い慣れたとくびの第一展示室ですが、入ってすぐのとこに南泉一文字の鍔のひとつ「あけぼの」が出てて「あけぼのちゃん出てる〜!」ってなりました。でもその横2つも「残雪」「盲亀浮木図小柄」で、全部南泉の付属品。プチにゃんコレ(プチ南泉コレクション)状態になってて笑っちゃった。

それからいつも刀装具の解説展示として出されているケースがなくって、代わりに「徳川家康の歩み」「駿府御分物 家康の遺産」パネルが掲出されています。刀剣のお向かいの壁一面が家康特集コーナーになってて、大河のパワーを感じました。復元品だけど、カニの浴衣も出てるよ。

それからたぶんなんですが、家康特集コーナーだけキャプションの紙がちょっと違ってたんですよね。ペルーラスノーホワイト的な光沢のある紙になってて……(ペルーラスノーホワイト大好き)同人オタクたちはちょっと注目してみてください。他のとことも見比べてみたけど家康特集コーナーだけだった。プレミアム。

ここからは、展示中の刀について。

展示リスト(PDF)

14 太刀 銘 国行

刃文のふちが赤いな、と思った国行。たまに「刃文のふちが赤い」と思う刀があるんだけど、あれってなんなんだろう。他でこういう表現してるの見たことなくて、単にわたしがそう見えてるだけなんだろうけど。

照明の加減だったら同じ展示室の刀も同じように見えるだろうけど、そういうわけでもない。なんか来の刀によく思う気はするけど、だからと言って来がみんなそうってわけでもない……

15 刀 無銘 助真

「一発で写真撮れそ〜!」って思った助真。刃文がとっても派手で、隣の国行なんかは屈まないと刃文がよく見えないけど、これはライティングがバチピンで刃文にあってます。一発勝負の撮影でもバッチリ撮れそうだなって思っちゃった。

方向性としては南泉一文字に近いかも……と思ったけど、南泉より肌がざりざりしてるような気がします。まあまだ南泉のこともあまりわかっていないけれど。

17 脇指 金象嵌銘 貞宗 本阿(花押)

この前日に、ふくやま美術館で朱判貞宗を見たばかり。だからそれと比較して見る形になるんですが、同じように刃文にうねりはあるけれど、こっちはふわっと煙ったような感じに消えているという違いがあります。

脇指 朱銘貞宗/本阿(名物朱判貞宗) ふくやま美術館 名刀 江雪左文字

脇指 朱銘貞宗/本阿(名物朱判貞宗) ふくやま美術館

でもそれよりも何よりも、目が行くのは肌。水面みたい……って思って、前にも徳川美術館で「水面みたい」な肌の短刀を見たはずだけど……と記憶を辿る。

徳川美術館 本作長義

大坂長銘正宗だったらしい。記憶、あってた。

大坂長銘正宗の方がもうちょっと綺麗な感じの「水面っぽさ」なんですよね。こっちの方がおどろおどろしさがちょっとあるんだけど、とはいえ「水面っぽい」肌ではある。

19 短刀 無銘 正宗

徳川美術館 ノート 短刀 無銘 正宗

イイワネ〜!!!ってなった短刀の正宗。昨日は貞宗、今日は正宗にときめいたわけだけど、昔の「正宗っていまいちわからんな」って思ってたころが懐かしい。刀見初めてしばらく、正宗の良さってあんまわかってなかったんです。それがこうなるとは、続けるもんだね。

オーバーリップ引くみたいに刃文の外側まで白い光がにじんで広がってて、いざ刃文の中には黒い水のような線が流れている。何層にも重なるような刃文です。いいなあ。

企画展 読み解き 近世の書状

企画展として書状特集も開催されていました。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を中心とした展示構成となっており、信長からおねに宛てられた、秀吉のことを「はげねずみ」と呼ぶ悪口手紙も展示中です。

展示リスト(PDF)

おお!と思ったのは「森長可 遺言状写」。名古屋市博物館の所蔵です。これは小牧・長久手の戦いの最中に書かれたものの写しで、実際に長可はこの手紙の翌日に討ち死にしています。森長可(もりながよし)は人間無骨の持ち主で、森蘭丸の兄としても知られます。

内容としては「さわひめの壺」などの茶道具を秀吉に進上し、悪しき茶道具や刀剣は弟のせん(のちの森忠政)に伝えてほしい……など、家族の今後についての要望が綴られているものです。

展示キャプションの書き下し文を見てみると「京のほんなミのところにひ そうのわきさし二ツ御いり候、せんにとらせ申候」とありました。この「わきさし」は現代まで伝わってるのかな、どうだろう……

森家の男の子たちは長可、蘭丸はじめことごとく早世してしまうんですが、残った弟の森忠政、長可のいうところの「せん」が美作津山藩主森家初代となります。この人は愛染国俊の持ち主だったりする。

参考:Wikipediaコトバンク

徳川美術館 黒門

この展示、やってることは知ってたものの展示一覧は見てなくて、その状態で「秀頼の絶筆が展示されてたらどうしよう……」ってちょっと思ってたんですよね。

大坂の陣の直前に尾張徳川家初代となる徳川義直が結婚していて、それに際して豊臣秀頼から送られた手紙が徳川美術館に所蔵されているらしいんです。秀頼の筆として残っている最後のものが、これなのだと。でも秀頼に関する本でそういう紹介を読んだだけで、まだ実物は見たことがなくて……(記憶で言ってるので間違えてる部分があるかもです)

いやあ、出てたらひっくり返ってたから、出てなくてよかったなあ(豊臣贔屓仕草)!でもいつかは、いつかは見たいです……

他には天海筆の神号「東照大権現」とかが出てるよ。

尾張徳川家の雛まつり

雛まつりは毎年恒例の展示ながら、微妙に展示替えがされてたり、いつもはひな壇の奥の方に展示されてたやつを別のケースに出してくれたりしています。今年は卯年にちなんで、毛作り人形のうさぎちゃんが独立ケースで出てました!すごく可愛かった。ひな壇にはコロコロのわんちゃんもいます。

一方で、毎年会うのを楽しみにしてた市松人形さんは去年に続けてお休みしていたり……また会いたいので、来年もまた来ます。

徳川美術館 雛飾り 犬張子

展示室のお人形は撮影禁止ですが、エントランスのお雛様は撮影が可能です。

徳川美術館 雛飾り 童子

9回目の春

徳川美術館 尾張徳川家の雛まつり

そんな感じの、2015年から数えてだから……9回目?えっ9回目???まじで????の春を迎えました。2月の水戸と梅、5月の和泉守兼定と並んで、わたしの中での「年中行事」のような展示です。また今年も来られてよかったな。

過去の記事でかなりくどくどとお話ししてるのでここでは割愛するんですが、あの春に鯰尾藤四郎を見なかったら、わたしはここまでこの趣味を続けていなかったと思います。わたしの始まりの刀でした。いっぱいのありがとうを込めて。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!

鯰尾に関してくどくど書いてるやつ▼


【お知らせ】
2023年3月19日(日)のHARU COMIC CITY 31に参加予定です!
「旅せよ審神者」と小説の既刊、あと2022年の旅で印象的だったものを小説の形に仕立てた、薄っぺらい本を持っていこうと準備中です。スペースは『東4せ12ab おいしいおこめ』でいただいてます。よろしくお願いします!