古河 坂長

うつくしい花のまち「かえってきた堀川國廣」茨城県・古河歴史博物館2023年5月7日まで

古河の堀川國廣展をみてきました!行った日は2023年4月1日(土)。

かえってきた堀川國廣

茨城県古河市にある「古河歴史博物館」で2023年3月18日(土)から5月7日(日)に開催されている、堀川国広の刀を25振り集めた展示。刀剣乱舞とのコラボも実施されています。

山姥切国広を打たせた長尾顕長。その息子の宣景は、浪人を経て、土井利勝に仕えます。この土井利勝は古河のお殿様。長尾顕長の子孫はその後も土井家に仕え、家老にもなりました。そういった縁で、平成26年に企画展「堀川國廣とその一門」を開催。今回は「かえってきた堀川國廣」として再び堀川国広を特集した展示を行っています。

参照:古河市「令和5年春の企画展かえってきた堀川國廣」

朝9時、古河駅に到着

古河駅

というわけで、古河にやってきました。渋谷・新宿から1時間半くらい。駅ナカにはイートインのあるパン屋さんやNEWDAYS、ロッテリアなどがありますが、出たところには個人商店が並ぶ感じ。早くつきすぎちゃった場合は駅ナカで過ごすのがいいかな。

駅前の看板

駅から少し歩いたところにある看板。目的地となる古河歴史博物館は徒歩15分くらいです。

雪の街灯

街灯が雪。古河を治めた殿様のひとり、土井利位は「雪の殿様」とも言われる雪の研究者。『雪華図説』という本を出してます。

街中の雪

そういったこともあって、街中ではちょいちょい雪の意匠を目にする。隠れミッキーみたいで面白いです。

しばらく行くと石畳の道へ。

石畳の道へ

もうこの辺りからね、とってもいい風景なんです。思いっきり住宅街ではあるんだけど、文化施設や学校なども集まっている。この辺りはもう、昔お城だった場所みたいですね。

雪探し

古河第一小学校の雪

立派なレンガの建物……

古河第一小学校

と思ったら、これ、現役バリバリの小学校。いいなあ、こんな学校だったら「学校行きたい」って思えちゃうかも(「学校に行きたい」と思うことが一度もないまま大人になってしまった大人)。

この学校の横の桜も、素晴らしくって。

桜 古河第一小学校

も、もう、良すぎる……

古河 春の吹き溜まり

学校の桜の横を通り過ぎると、文化施設がいくつか並ぶ通り。この辺りまで来ると角ごとに案内看板が出ているような感じなので、スマホで地図を見る必要もなくなりました。

整理券配布場所

整理券配布場所 東屋

整理券配布場所となっている東屋。混雑時のために用意したようですが、この日は整理券配布なし、直接博物館に行ってください、というハンドリングになっていました。

古河 木漏れ日の道

ね、綺麗な道。この右側はちょっとした川みたいになっていて、階段で水辺に降りることができます。

古河 水辺

突き当たりに見えているのは鷹見泉石記念館。

古河 水辺 シャガの花

古河 水辺 落ち椿

水辺を進んでいくと、虹を吹き出す噴水。

古河歴史博物館 虹

そのすぐ隣が古河歴史博物館です。

古河歴史博物館

この真正面にも枝垂れ桜がうわっていて、少し花に遅れてしまったけど、盛りの頃は素晴らしかっただろうなあ。

古河歴史博物館 枝垂れ桜

歴史博物館のお向かいは鷹見泉石記念館および奥原晴湖画室です。もうね、区画全体としてとても美しいの。

古河歴史博物館 美しい建物

古河歴史博物館 落ち椿

歴史博物館の建物も美しかった。

古河歴史博物館

古河歴史博物館 入り口

古河歴史博物館の現在の展示は大きく分けて3つ。
・鷹見泉石について
・古河の古代〜近世の歴史について
・企画展「かえってきた堀川國廣」展

東京国立博物館で2022年に開催された『国宝展』に行った人は、鷹見泉石に見覚えがあるかも。渡辺崋山が描いた国宝の人物画、に、描かれているのが鷹見泉石です。古河藩の家老でした。

鷹見泉石/古河の歴史の部屋も結構見応えがあったんですが、ここでは印象的だったものを3つピックアップしておきます。

源頼政ゆかりの神社がある

刀剣乱舞的に言うと「獅子王のじっちゃん」。鵺を倒したり歌を詠んだりして、源氏の人だけど平家カンパニーで活躍してて、でも平家に反旗を翻して結局うまくいかなくて自刃することになった人です。

京都で自刃した源頼政ですが、その首を家来が持ち帰り、古河に葬ったという伝承があります。

古河歴史博物館から徒歩15分ほどの場所に、今でも「源三位頼政神社」という神社があります。もとは古河城内にあったんだけど、明治末にスタートした渡良瀬川の改修工事で今の場所に移転したんだって。

静御前ゆかりのお寺がある

奥州にいる源義経に会いに行こうとした静御前。しかし義経が平泉で没したことを知り、京に引き返そうとしたものの、伊坂(栗橋町)で病に倒れ、亡くなってしまう。この頃同地にあった光了寺に遺品が納められた……ということで、これも古河市内。でも古河歴史博物館からは徒歩1時間以上かかる場所で、ついでに行くにはちょっと作戦を練らなきゃいけない場所ですね。

土井利勝は家康の庶子

土井家の初代となる土井利勝は徳川家康の庶子……つまり隠し子、という説があるそうです。これが市井の噂話ではなく、博物館でも紹介しちゃう説なんだからびっくりしちゃう。

ところで土井利勝は自刃させられたと伝わる家康の長男、松平信康の生存説にて名前が出てくる人でもあるんです。

史疑 : 徳川家康事跡

史疑 : 徳川家康事跡

国立国会図書館デジタルコレクション「史疑 : 徳川家康事跡」村岡素一郎 著 民友社 1902年 85-86コマ

「掛川で老人が『土井甚三郎は息災か』と尋ねて、時の老中を呼び捨てにするとは只者ではない、これは死んだとされている松平信康だったのではないか」ってなったって話。ここで出てくる土井甚三郎が土井利勝のことです。

土井利勝が家康の庶子だったかもしれない……ということを踏まえると、「弟の消息を尋ねるお兄ちゃん」という図式にもなり、なかなかアツいなと思ってしまいます。

國廣展

さて、本懐の國廣展。国広が25振り+地元の刀が2振り(固山宗次でした)。小規模な展示室2つの構成で、内容としてはコンパクトです。各刀のキャプションも銘と所蔵に限定されていたので、「文字を読む」としても時間は取りません。

館内配置図 かえってきた堀川國廣 古河歴史博物館

今回の展示は、展示No.順に見ていくとおおよそ古い順から見られるようになってます。ということもあって、古屋打ちからの作風の変化を比べやすくて面白かった!古屋は現在の宮崎県、国広の地元で、地元にいた頃の作ってこと。入って最初の部屋の右側(展示No.1〜6)と、左側(展示No.7〜15)が、明らかに違うんですよね〜!垢抜けてる。

全体的に「何もしなくても見える」って感じの完璧ライティングでしたので、肌も刃文もばっちり見ることができます。照明を絞ってるわけでもなく、展示室全体として明るいのにこれだけ見えるの、すごいな。

そんな25振りのうち、特に「何これ!?」となったのは展示No.23、刀剣ワールド財団(東建コーポレーション)所蔵の短刀。

お利口な直刃、ちりめんのようなラメ地鉄、裏の彫り物は二筋樋に蓮台と「全体的に相州っぽい感じかな?」といった刀なんですが、見たことない彫り(表面)があって。

重要刀剣 短刀 洛陽住藤原國廣 慶長十五年仲夏日 刀剣ワールド財団 かえってきた堀川國廣 かえってきた堀川國廣 古河歴史博物館

ほんと〜〜〜に見たことのない彫りだった!「なに?杖???」と思ったんだけど、図録によると意匠化された羂索(仏さんが持っている縄、衆生を救う意味を持つ)らしい。言われてみれば縄っぽいな……とは思うけれど。国広の作でこういう彫りのあるものは、これ以外に見つかっていないそうです。おもしろ。

古河歴史博物館 美しい窓

展示室を出たところの景色が素晴らしかった。

街歩き

歴史博物館を見終えた後は、博物館真正面の記念館へ。ここには土井家に仕えた鷹見泉石の旧邸と、女流画家・奥原湖面の屋敷が隣接しています。いずれも入場無料。

鷹見泉石記念館 お雛様

鷹見泉石記念館 ひな壇

雛壇の正体にウケた。

鷹見泉石記念館 家屋

鷹見泉石記念館 木漏れ日

ここもまた、美しい場所。本当は展示だけ見て、他は寄り道しないつもりだったんです。疲れちゃうし。でもなんだか歩くのが楽しくて。

奥原晴湖画室 椿

奥原晴湖画室 蔵

光が美しくて、なんでもないところでぼうっと立ちどまってしまうことが何度かあった。

奥原晴湖画室 椿

古河 水辺 青紅葉

来た道を戻って、古河文学館へ。国広展のチケットで文学館と、ちょっと歩いたところにある篆刻美術館も見学できます。やっぱり疲れすぎちゃうのは避けたかったので「お散歩程度」って感じで見学したんだけど、そんなふんわりした眼差しでも楽しく見れた。

古河文学館

古河文学館はエントランスのみ撮影可。最近亡くなった作家の永井路子さんは古河で育ったということで、特集部屋があったりしました。永井路子の歴史小説、読んでみようかな。

古河街角美術館

篆刻美術館では中学生の作った篆刻が展示されており、それぞれ個性豊かで楽しかったです。

古河 坂長

この後スタンプラリーのポイントにもなっているカフェ・お土産物やさんの坂長まで戻って、水分補給。この時点で12時でした。ここでお昼を食べて東京に戻るのもアリだったけど、この良い日差しを満喫しないのがもったいなかったので、少し足を伸ばして古河公方公園に向かいました。

古河公方公園

古河公方公園 (古河総合公園)

足利成氏の館跡である、古河公方公園。足利氏といえば(古河から渡良瀬川を遡った先の)足利もそうですし、北関東の文化圏だなあ、って感じがする。古河公方公園は今はとっても広い公園で、桃の花が有名。古河歴史博物館からは徒歩20分、駅からだと徒歩30分くらいの場所です。わたしは歩いちゃったけど、桃まつりの時期限定のバスも出ているみたい。

古河公方公園 (古河総合公園)

そう、歩いちゃったから変なところから入ったんですけど、なんかこの辺イギリスっぽくないですか?良すぎ。こういう場所赤毛のアンであったでしょ(赤毛のアンはイギリスじゃねえよ)。

古河公方公園 (古河総合公園)

桃まつり……のはずなんだけど、桃っぽいものあんまり見れなかった気がする。色は桃っぽいけど、桃ってもっと縦長のとんがった感じだよね?わからんけど。

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

この辺とかめっちゃイギリス。イギリス行ったことないけど。でも進んでいくと、お祭りで歌謡曲が流れてて「おお、日本だわ」ってなった。

古河公方公園 (古河総合公園)

たべものの屋台も出てました。これぞお花見、って感じ。

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

なんかもう、すごく広っろいの!「総合公園」という名前もついてるから運動グラウンドとかもあるのかな?と思ったんだけど、見た感じそういうのはなさそう。本当に贅沢に、広い敷地を、ただただ「公園」として展開しています。

古河公方公園 (古河総合公園)

屋敷跡として住居が保存されていたり。

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

とにかく、とにかく、百花の園。時期と天気もべらぼうに良かったな。せっかくの桜の季節なのになかなかお天気に恵まれなくて、雨粒したたる花の写真しか撮れていなかったけど、ここにきてようやく眩しいほどの桜を見られた。今日古河に来られて良かったな。

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

駐車場に差し掛かるところ、なんだけど、この場所の桜が本当に良くて、カツラの木の下に座り込んでしばらく花吹雪を浴びていた。ずっとここがいい、って思った。

古河公方公園 (古河総合公園)

名残惜しくもその場所を後にして、駐車場エリアから公園の出口に向かいます。そこもまた夢みたいな景色。

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

古河公方公園 (古河総合公園)

本当に、良い日差しと花日和でした。

丸満餃子で〆

丸満餃子

駅に戻って、駅から4分くらいのところにある「丸満餃子」で夕ご飯。これ、餃子なんです!皮がしっかりしてるので、ちょっと肉まんっぽい。

ちなみに丸満餃子、ランチタイムが14:30まで、ディナータイムが16:00からで、中途半端な時間に行くと閉まってます。わたしは駅のロッテリアでちょっと時間を潰してから16時に合わせて入店したけど、食べ終わって出たら行列ができてました。

旅の終わりに

古河歴史博物館 コラボパネル

本当に街歩きを楽しみました。こんなにも「美しい場所」と思ったこと、これまでなかったな。穏やかで時間がゆっくり流れているように感じました。展示はゴールデンウィークまで行われているので、ぜひ足をお運びください。

かえってきた堀川國廣展

ここまで読んでいただいてありがとうございました!

桜 古河第一小学校

各種情報は以下より:
展示公式Twitter「【公式】かえってきた堀川國廣」@Kunihiro0318
公式サイト
コラボ情報公式ページ