仕事で関西に来ております。仕事の合間を縫って、姫路市立美術館で刀を見てきたよ、って日記。行った日は2023年6月13日(火)。
駅からまっすぐ、お城まで
関西って結構気軽に県境を跨げるので良いですよね。ということで姫路にやってまいりました。駅を出て真正面に見える姫路城、
の、すぐ脇にある姫路市立美術館が本日の目的地です。
刀剣に映す心のかたち-刀身彫刻と神宝-
現在、姫路市立美術館ではコレクションギャラリーとして「刀剣に映す心のかたち-刀身彫刻と神宝-」という展示を実施中。今回は館の収蔵品&寄託品から神仏を象徴する刀身彫刻のあるもの、寺社にゆかりのあるものをピックアップしています。
という、手厚すぎる展示、見てきました!展示作品は9振り。その中でも気になったものをピックアップしてご紹介します。
脇指 吉次
関鍛冶の系統をひくという吉次。
すご〜く緻密な龍が彫られてるんだけど……
顔だけデフォルメ度高くてちょっと面白かった。
脇指 酒井忠以
今回、すごく見やすいライティングで展示されています。2021年の明石国行などが展示された時もすごく良い展示だったんだよなあ、その記憶もあって信頼感が高く、ぜひ見にきたいと思っていたのです。
ただちょっと映り込みの多くなってしまう展示環境だったので、ガラスに映る撮影者を誤魔化すためにグランジ感のある写真編集を行なっています……
で、こちらは江戸時代に姫路藩主である酒井忠以が作ったもの。当時姫路城内(現在の護国神社本殿付近)にあった「鍛冶小屋」で鍛錬したんだって。同じく姫路城の城内にある、姫路神社の所蔵品です。もちろん殿様が1人で作ったってことはなくて、酒井家のお抱え鍛冶・丹治秋弘が相手鍛冶を勤めたとのこと。
今回の展示、展示室のキャプションは非常に簡素なのですが、展示室内に置かれているパンフレットで細かな説明をしてくれています。
剣 藤原忠国
合勝軒・一竿子と号した藤原忠国……の、19歳の作だっていうから驚いた。
つるんとしたこの刃文。ティーンエイジャーが作ったんだな、19歳って言っても江戸時代だし、数え年換算だったらもうちょっと年下かも……?
だけどこの剣、昭和20年(1945)6月のアメリカ軍爆撃によって焼身となっています。今の姿は、昭和54年(1979)に2代月山貞一によって再刃されたもの。「再刃までの30年、ちゃんと繋がれていたんだな……」という点にも、想いを馳せてしまうところ。
太刀 伝 寿命
松原八幡神社所蔵の「寿命」と伝わる大太刀。ちょっと面白い姿してるよね!
寛永21年(1644)、服部平左衛門尉という人が寄進した大太刀。この人は姫路藩主・本多政勝に出仕した武士と考えられています。……といった部分は銘によってわかるんですが、銘に作刀者の名前はなく、昭和期に「寿命」の作と鑑定されました。
つやつやつるん、というよりはざらざら感のある肌や刃文なんですが、それがうまくまとまっていて、毎日見ても飽きないだろうなあって感じがある。見どころが多いです。
そしてこの刀、展示の高さの関係なのか、壁に影がうつってなんか良かったです。劇場型って感じだ。
刀 三木氏重
廣峯神社所蔵の刀。明暦3年(1657)に奉納されたもので、今回の展示作の中で一番「綺麗な刀」と思ったのはこれでした。
とにかく肌の色の濃さが良いんだ。刃の白とのコントラストが引き立つ。
これたぶん、研ぎもかなり良いんじゃないかなあ……あまり研ぎの技法のことはわからないが……そんなことまで考えてしまう、とびきりの刀でした。
刀 宗定
これも廣峯神社の刀なんですよね。廣峯神社は姫路駅からバス20分+タクシー10分+徒歩10分の山の上にある神社さんなんですが、奈良時代建立とのことで、かなり歴史の長い神社のようです。古くからこの地域の信仰の対象だったのでしょう。
これは元和6年(1620)、播磨国国飾東郡に居住した宗定による作。今回の展示のラストを飾る1振りです。
これだけはばき(手元のところの金具)がない状態で展示されていたんですが、刃文の焼き出しの様子がよく見えて面白かった。すっと伸びていて綺麗だ。
展示は6月25日まで
という、姫路市立美術館のコレクション展。コンパクトながら見どころの多い展示でした!期間終了まで時間が限られていますが、ご都合の合う方はぜひ見て欲しいなって思います。無料だし、コンパクトだからこそ隙間時間で見れちゃうと思うし……
展示会ページ内の出品目録(PDF)には展示品の解説も載っています。展示室でもらえるパンフレットは、さらにカラー写真が載ってるよ!
展示は2023年6月25日まで、ぜひチェックしてみてください。ここまで読んでいただいてありがとうございました!