「三菱一号館が日本のモノの展示するの〜!?行く〜!!!」ってノリで行ってきました。三菱の至宝展。
これは本来なら2020年に開催されていたはずの特別展。2020年は三菱の前身である九十九商会が興されてから150周年の年。それを記念し、三菱ゆかりの3館(静嘉堂、東洋文庫、三菱経済研究所)の文化財が大集合した展示となっています。
静嘉堂は刀剣の所蔵が多いため、過去に何度か訪問したことがあります。
静嘉堂名刀展いってきた(講演も聞いたぜ)レポ(2017年2月)
曜変天目の宇宙と光忠の稲妻の日和 静嘉堂文庫及び西2館で曜変天目コンプしたよログ(2019年5月)
なお、世田谷のちょっとアクセスが不便な場所にある静嘉堂文庫では、今後展示が行われなくなります。展示ギャラリーは丸の内にお引越し。新しい場所での展示も楽しみです。
岩崎彌之助の刀剣蒐集
三菱の創始者は岩崎彌太郎。大河ドラマ「龍馬伝」では龍馬の古い友人(友人???)として描かれたように、幕末の土佐の下級武士の出身です。その彌太郎の弟、彌之助。三菱の2代目社長で、数々の文化財・古文書を収蔵する静嘉堂を設立しました。
彌之助は下級武士の家に生まれたこともあり、武家文化への憧れが強かったらしく、彼の文化財のコレクションは刀剣からスタートしています。
というわけで、刀3振り展示されてるよ!
高綱(滝川高綱)
古備前の太刀。高綱って聞かない名前だな〜と思ったんですが、在銘作が希少な刀工だそうです。織田信長から滝沢一益に渡ったことから「滝川高綱」の号(ニックネーム)がついています。
これはずっと張り付いてるおじさんがいたのでよく見れんかった。譲れし( ˘ω˘ )
手掻包永
国宝!今回の出品では割と目玉のやつかなと思います。
大和伝の包永。いかにも大和!って感じの、古い木のようなざりざり肌に目がいきますが、それはしのぎの上だけ。しのぎの下側、刃寄りのところはしっとり感があるんです。不思議だな〜、手に持って、光の当て方変えたら見え方も変わるのかな……
ものうち(きっさきより少し下った部分)の刃文のふちが、幅広に広がってて好きでした。チョークを寝かせて線を引いたみたいな感じ。
大和伝の刀って素朴な雰囲気がとても魅力的だと思うんですけど、これも素朴さがとても良い。それでいて肌が不思議に綺麗なので「なるほど国宝……」と思いました。
日置安吉
安吉は左文字ファミリーの人だよ!短刀、名物 日置安吉。日置って「へき」って読むの初めて知った。
これは東京国立博物館の一柳安吉なんですが、刃文の感じはとても似ています。ふちの線が太めで、流星の通った跡みたいなイメージ。一柳安吉は肌もキラキラしているので「手のひらサイズのギャラクシー!」って思います。でも日置安吉は、肌の方はあまりそういう感じしなかったな。
……と書きながら「あれこんなこと日向正宗にも言ってたな」と思い出しました。
三井記念美術館「日向正宗」と武将の美みてきた/2021年1月27日まで(2020年11月)
日向にもギャラクシー感あったんですが、左は正宗十哲に数えられるし(正宗の弟子のうち高名な者たちを指す用語だけど本当に弟子だったかどうかはふわっとしてる、左文字は「影響を受けてる」くらいは言えそう、って感じ)、まあなんとなく似た感じなのはありえるのかな、知らんけど(魔法の言葉)。
なお、後期には友成、(伝)兼光、清麿が出ます。こっちも気になるね……後期は8月11日〜9月12日です。
昭和北野大茶湯
北野大茶会は秀吉がやったやつね〜ってなる方も多いと思うんですけど、昭和11年に「大茶会やってやろーぜ!!!」って京都市中28箇所でお茶会したの知ってました???わたし初めて知った。
これに岩崎小彌太(4代目社長で、彌之助の子)が一席を依頼され、実際にお茶を立てるのは自身のお茶の先生である久田宗也(無適斎)に任せます。岩崎家が収集・保存してきたお茶道具を使った茶席は大評判だったとか。
そう、岩崎家、めちゃめちゃもてあた(持てるものこそ与えなければ)精神なんです。
明治期、西洋のものが一気に入ってきた時代。日本のモノが下に見られる風潮がありました。そんな中、東洋文化の重要性を認識し、海外流出を防ぐ目的もあって国内の文化財を多数購入、管理。廃仏毀釈で危ない状況になった寺社も多い時代でしたが、寺社への寄進も多数しており、その返礼品として三菱に入った品も数多くあります。
その他にもその時代の美術家を支援したり、学問への後援をしたり……
めっちゃもてあた!そして現在は、収蔵品を一般公開してもくれてるわけです。ありがたいことだ。
マリー・アントワネット旧蔵本と伝わるイエズス会士書簡集とかも展示されてて「やべー!」ってなった。
曜変天目(稲葉天目)
そして三菱のとびっきりのお宝、曜変天目!
曜変天目は世界に3つしかないお茶碗で、3つとも日本にあり、そのうちひとつが静嘉堂の所蔵です。かつては徳川家光の持ち物でしたが、乳母・春日局の実家である稲葉家に渡り、以来「稲葉天目」とも呼ばれます。
2019年、3つの曜変天目が全部公開されてるスペシャル期間があったので、その際に3つをコンプしたんです。
曜変天目の宇宙と光忠の稲妻の日和 静嘉堂文庫及び西2館で曜変天目コンプしたよログ
というわけで稲葉天目も見たことはあるんですが、今回は低めの位置に展示してくれてたから、お椀の底の方までよく見えて嬉しかったです!
あと、まだ展示が始まったばかりというのもあってか、お客さんが少ない。そうでなくてもいっぺんに入館できる人数を絞っているので、今回の方が混雑なく見やすいかもしれません。
でも、静嘉堂で自然光の中で見た稲葉天目も良かったな……また自然光の中で見れたら嬉しいな……
フォトスポット
展示の途中にはフォトスポットが用意されてます。
「???これがフォトスポット???」
「ほう、フラッシュを焚けと……???」
「!!!面白いこと考えたな〜!!!!!」
ってなった。
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